File No. 001

南アフリカ サーフトリップの夢
- 河野 正和プロとたこ焼きをつまみながら -

バリ島でサーフガイドを始めて以来の大怪我で、予期せず日本に帰国。 クロボカンで土砂降りの中のバイク事故に合い、鎖骨の粉砕骨折に加え、胸骨を骨折。さらに手術前に折れた胸骨が肺に刺さり、左の肺が半分ほどに縮まっていることが判明し、応急処置をしていただきながら、ドクター、家族、恋人、友人、知人、様々な方のおかげで、なんとか命をとりとめたのでした。

感謝と不安と痛みの日々の中、縁あって滞在していた千葉で、「ズッチョ」の愛称で親しまれる河野 正和 プロと親しく話す機会をいただきました。
河野プロが遊びに来てくださるというので、関西出身のボクのソウルフードといえるたこ焼きをふるまうことにしたのでした。
日本のサーフィン史上特筆すべき偉業を達成したトッププロサーファーの河野プロですが、海での屈強さとは裏腹に、おだやかで温かく、気さくな方で、たこ焼きをつまみながら、世界をまたぐサーフィン談義に花が咲き、時間の経つのを忘れるほど楽しいひとときを過ごさせていただきました。
ボクの焼くたこ焼きを、本当に嬉しそうに食べてくれて、たまたま関西で生まれ育ってたこ焼きが焼けることを誇らしく感じるほどでした。

河) 目の前でたこ焼きをこんな風に焼いてもらえるなんて、感激です!

杉) そんなに喜んでもろたら、ボクも嬉しいですわ。よかった

河) ああ〜美味しいなぁ〜

何時間にもわたる楽しい話の中から 1 つ、サーフィン、そしてボクのBow's Surf を好きでいてくださるあなたにおすそ分けしたいと思います。
サーファーの憧れの地のひとつ、アフリカのサーフトリップの話題です。

河) アフリカには 2 回、雑誌の仕事で行きました。Jベイ、あそこの波は本当にいいですよ。

杉) 半端じゃない距離を乗れるっていいますよね

河) そうなんです。 セクションはあるんですけど、パーフェクトのレギュラーが1km以上続いていて。パドルアウトは大変ですけどね。狭いんです、出る場所が。

杉) J ベイといえば、サメの話を聞きますけど、実際どうでしたか

河) サメはねぇ…!
シャークネットは張ってあるんですけど、破れてたりして。サメには会わなかったけど、ヒヤヒヤしますよね

杉) ええっ、破れてるんですか!すごいなぁ…

河) …でも、波は最高なんですよね。人生でトップ 3 に入るいい波ですよ。

杉) うわぁ行ってみたいなぁ〜!サーファーなら、一生に一回でいいから行ってみたい所ですよねぇ…
実際行くとなると、気になるのは治安ですが、実際行かれた時、どうでしたか。南アフリカのコンビニは、レジカウンターが鉄格子で区切られていて、手元にはピストル常備なんて話も聞きますが。

河) そうですね。怖いところはありましたよ。
たとえば、夕飯を食べに日本料理レストランに行った時なんかは、本当に緊張しましたね。 お店のほんの鼻の先に駐車場があるんです、走ったら10秒くらいのね。 その駐車場には、公衆トイレがあってね、ちょっと用を足していたらスグに背中に銃口を突き付けられるような事件が頻発しているというのでね。ガイドの人が、とにかく、駐車場で車を停めたら、車から店のドアまでダッシュで走れって言うんです。 確かにただならぬ雰囲気を感じてね、思い切りダッシュしたのを覚えてます。 店に入るときも出る時も、とにかくダッシュ。

杉) なんだかゾッとするような気配が伝わってきますよ。怖いなぁ…

河) ガイドの方が細かくアドバイスしてくれるので、危ない目には合いませんでしたけどね。現地ガイドなしではボクなんかは絶対行けないですよ。

杉) アフリカといえば、大自然の中を野生の動物が走り回っているというイメージもありますが、動物に出くわすこともあるんでしょうか。

河) ああ、動物ねぇ、J ベイの近くに大きなサファリパークがあって、みんなで行きました。サファリパークといっても規模がものすごく大きくて、大自然がそのままの状態になった広大な地という感じで、そこに、いろんな動物が野生のまま生息しているんです。 象さんとかサイとかカモシカとかキリン、シマウマ…いろんな動物が生活してるんですね。 野生のままだから、「行けば必ずこの動物が見れる」なんてことは約束できないんだって言ってました。それに、絶対自動車から降りたらダメですね。
特に象さんなんかは、見たいし、見れたらラッキーなんですけど、その時は、自動車が全力で逃げられる体勢で見物するんです。追いかけられたりしたら、野生の象さんやサイは走るのがものすごく速いし凶暴なんだそうですよ。
アフリカは、いろんな意味で、大自然や野生を肌で感じられて、本当にエキサイティングですよ。
ジェフリーズ ベイ 通称 J ベイは、南アフリカの、インド洋に面した湾曲した海岸線にあり、南極からのうねりがヒットするとパーフェクトなライトの波が割れるといわれています。

ジェフリーズ ベイといえば、トム・カレン。
当時誰も見向きもしなかったスキップフライのツインフィンで、Jベイの波をメイクした時の映像が、SEARCHING FOR TOM CURREN (1997, Filmed by Sonny Miller, Rip Curl presents) というビデオ作品で発表されたのですが、初めて見た時の感激は今でも忘れられません。カービングの連続が、なんというかシブいんですよね。 ツインフィンの可能性が再確認されると同時に、今のツインフィンのリバイバル・ブームに火をつけた、サーフィン史上必見の作品です。

いつか、ツインフィンで、南アフリカ・Jベイの長いフェイスをカービングでつなぐサーフィンをやってみたい。

ボクの夢のひとつです。

ズッチョさんのリアリティ満点の南アフリカ サーフトリップ話で、またボクのサーフィンの夢がふくらみました。
そして、数多く挙げられたアフリカの動物の中でズッチョさんが唯一象に「さん」付けを貫く様子に、象への敬意を感じ、ズッチョさんのあたたかい人柄がさらに感じられたのでした。

またご一緒できる日を楽しみに。
次お会いする時には海で波乗りをご一緒できるよう、養生して頑張ります。

[ Special thanks ]
河野 正和 - Masakazu Kouno -
http://go-naminori.com/masakazukouno/
1969 年 12 月 3 日生まれ。千葉県太東出身。高校 3 年で NSA 全日本選手権ジュニア優勝。同年秋の JPSA プロトライアルに合格し、17歳でプロデビュー。'97年 ’01年 ’02年と 3 度のグランドチャンピオンを獲得。サーフエリア千葉のコンペティション日本最強伝説を築いたトッププロとして知られる。22 年間のプロ生活を経て、2009 年 JPSA プロサーキットを引退。現在は JPSA 理事として後輩をバックアップするほか所属するサーフショップ CHP で国内外シェイパーとのボードプロデュース、プロモーション、サーフィンスクール、試乗会実施等を通じ、サーフィンの楽しさを伝え続けている。